企画展情報

◎風林火山の時代〜筆あとから見る乱世のすがた〜

写山楼展

 「疾きこと風のごと如く、徐かなること林の如く、侵掠すること火の如く、動かざること山の如し」―「風林火山」の旗を掲げた武田信玄(1521―1573)は、その旗印に象徴されるような、勇壮で知略に富んだ、戦国武将を代表する人物と評されています。また、信玄と対立した上杉謙信(1530―1578)、さらに織田信長(1534―1562)や豊臣秀吉(1537―1598)など、武をもって覇を唱え、知略でもって成り上がった彼らを、現代の私たちはさながら物語の中の英雄のようなイメージで捉えています。しかし、実在したそれら武将たちは、はたして私たちが思い描くような超人然としたヒーローだったのでしょうか。
 歴史研究の材料として、最も資料的価値が高いものは古文書だといわれています。古文書とは「特定の対象へ意思を伝達するために作成された伝達手段」、つまり差出人と受け取り手が存在する古文献をいい、多くの場合それは手紙を指します。「書はその人を写す鏡である」といわれるように、手紙は、公的なものであれ私的なものであれその人柄が反映されるものです。特に自筆のものである場合、書面には差出主のナマの感情がこもっています。歴史の教科書やフィクションの中の人物ではない、実際に生きて生活していた「有名人」の姿が、そこからは読み取れるのです。
 本展では、武田信玄、山本勘助、上杉謙信ら、戦国を代表する武将たちを中心に、その周囲を彩る文化人らの遺した書状や和歌、さらに伊達政宗など戦国の系譜を引き継ぐ江戸初期の大名たちの書を当館所蔵品のなかから展示いたします。また、正確な考証に基づき描かれた小堀鞆音の歴史画、勇壮絢爛な小山栄達の屏風、堀尾吉晴所有と伝えられる甲冑(紺糸縅胴丸具足)なども併せてお楽しみいただけます。
 武将たちは、どんなことを思い、どんな生き方をしたのでしょうか。乱世を駆け抜けた彼らの息吹を、その筆あとから感じ取っていただければ幸いです。

開催年月日:平成19年5月26日(土)〜7月28日(土)

文星芸術大学系列博物館相当館 上野記念館
〒320-0032 栃木県宇都宮市昭和2-5-8
TEL.028-625-5905 FAX.028-621-2929

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