油画専攻

概 要

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●自由な作り手としての造形表現で、自身の本質を見据える

まず、「現代の美術はこうあらねばならない」という先入観を取り除くことが大切です。なぜならば、いつの時代も、最も前衛的な芸術は、その時代の主流ではなかったからです。むしろ文星の私たちは「表現者とは何者にも左右されない自由な作り手でなければならない」と考えています。そのためには、美術そのものを歴史的に見渡す視界、視点で「美術とは何か、表現とは何か」を模索することが欠かせないのです。

●油絵の歴史は伝統に対する変革

ヨーロッパの絵画の歴史は、「フレスコ」と呼ばれる壁画と「テンペラ」と呼ばれる水性の板絵から始まりました。しかし、これらの技法はルネサンスの変革とともに「油絵の具」にとって代わられました。その後に続くバロック、ロマン主義、印象派は、それぞれの時代を支えている「スタンダードな芸術運動」に「反旗」を翻した前衛芸術家たちの運動でした。日本で明治期に西洋画として紹介された油画の歴史も、「時代の変革者」としてのスタンスで歩んできました。そうして油絵具を用いて描く「油画」は、いつしか西洋画を学んだ人々のジャンル分けの呼称へと変わりました。ですから現在、日本中の美術大学で「油画」と呼ばれるジャンルは、必ず しも「油画」を描いている人々の集まりとは限りません。ここでの「油画」の語は、まさに「伝統に対する変革」の意を継承しているのです。

●伝統を変革する

『伝統を変革するには、伝統を知らなければならない』このことをモットーにして、古典絵画から現代の美術にわたる教育プログラムを組んでいます。本学の油画専攻が『美術とは何か』を知ることを表現の基礎に置きつつ、デッサン、古典技法、色彩研究、構図研究、20世紀以降の美術表現までを体験します。その上で、作家としての自らのコンセプトを確認するためのプレゼンテーション、学生同士のディスカッション形式による批評会を行います。そ の根底には 「時代のみならず、自己を見つめて探求していく」という教育方針があります。また、「作家活動の実践的シミュレーション」として大学内外を問わず、個展あるいはグループ展を開催するなど、次第に個人の意識を高めていきます。このようにして、新しい時代を創り出す『表現者』が成長し、巣立っていきます。

カリキュラム

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● 1 年次

絵画表現の基礎となる観察力、造形性などを手がかりに、物事から感じたものをどのようにとらえ、表現していくかについて、静物や人体、風景などを通して学びます。同時に、油彩などの描画材料の特性や用具についての理解を深めます。

● 2 年次

絵画表現の全容を知るために、テンペラ、銅版画、油彩、コラージュなど、古典から現代までのさまざまな技法や表現媒体についての実習を経験し、各自のテーマにふさわしい方法を見出していくことが最も大きな目標となります。同時に、自ら題材を見つけ、取材やエスキースを積み重ねる方法を身につけます。

● 3 年次

自主制作に向けて、表現の模索を試みる大切な期間です。フレスコ、ポートフォリオ制作、インスタレーション、木版画、教官ゼミなどを手掛りに、テーマと制作プロセス、コンセプトなどを自らの生活を通して考えていきます。

● 4 年次

卒業制作に向けて、作品を制作する態度や考え方、作品を見せることの意味をディスカッションなどを通して考えていきます。自分は同じ時代の人々にどのようなメッセージを送りたいと思っているかについて、これからの創作活動の出発点に立って考えます。

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授業の一例

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画面空間の平面化と平面性について

2、3年次は様々な表現媒体を広く実習し自分の表現を見出してゆく期間です。 自分の身の回りのものや日常をモチーフにして、リアリティのある作品を作ることは、とても大切な事です。日常の室内風景に見立てて静物をセットし、自由に構成した作品をつくります。まずはスケッチから始め、次に作品のためのドローイングに進めます。形の組み合わせを考えながら段ボール紙にコラージュとドローイングによるエスキースをつくります。 何故コラージュかというと、一つはモチーフに潜んでいるシンプルでいい形を見出す事が出来るからです。二つ目は、立体性や三次元空間の中でのレアリスム的表現のみではなく、形態をシルエットに近い色面として捉えた方が、画面の生命感や構成に有利になる場合があるからです。抽象的な作品には顕著に現れていますが、具象作品にも意外に多く見られます。このコラージュを基に色面を意識しつつ油彩を制作します。

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  • 作品

  • 小室伸「life」

    小室伸「life」 9期生 ミクストメディア/1303×1940mm

  • 物井一恵「」

    物井一恵 作品名なし 油彩/220×270mm

  • 小川冴弥佳「DOLL」

    小川冴弥佳「DOLL」 油彩/1620×1303mm

  • 澤本幸子「composition(part of the sea)」

    澤本幸子「composition(part of the sea)」 油彩/1620×1620mmm

  • 圓田哲也「園望」

    圓田哲也「園望」 油彩/1303×1621mm

  • 菊池詩乃「染まる」

    菊池詩乃「染まる」 アクリル絵具、色鉛筆、カラーインク/297×420mm

  • 渡邉笑理「I can't help doing it」

    渡邉笑理「I can't help doing it」 油彩/318×409mm

学生の声

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油画専攻で自分の可能性を見つけよう
物井一恵(8期生)〈郡山女子大学付属高校出身〉

油絵を学ぶことが志望動機でしたし、実際に自主制作でも油絵を制作しています。しかし、油画専攻には油絵以外にも、版画、現代美術など多くの実技演習があり、表現するための知識や技術を幅広く身に付けて、自分の表現の可能性を広げることができます。3年次のゼミ授業では学生と教授が一対一で話し合い、自分の表現方法に合わせた技法など、ポイントを絞ってより専門的に学ぶことができます。私の作品の方向性が決まり始めたのも、この時期でした。油画専攻の授業には新しい発見があり、自分の能力を大きく伸ばしていけると思います。

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油画専攻で自分の可能性を見つけよう
学部4年 阿曽希美恵〈埼玉県立羽生高校出身〉

油画専攻では油絵だけでなく古典技法や版画、現代芸術など幅広く学ぶことができ、視野を広げられます。
現代美術演習では「自分の地図帳」を作る課題から、自分の嗜好や描きたい世界が具体化し始め現在の制作に繋がるきっかけとなりました。その後版画の授業で多色木版画と出会い「合っている、これなら私の表現したい世界がだせる!」と思い、それから木版画の制作を続けています。
多色刷りは版を何枚も重ね、一つの作品に仕上げていく時間のかかる作業です。湿度や水の扱いに苦戦しますが、そこに面白さを感じています。木・水・和紙・顔料を合わせることにより得られる木版独特の温かみとやさしさ。その魅力を活かせる作品をこれからも作っていきたいです。

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